中国→日本と異なる「バブル崩壊」構造

今回の中国株の乱高下と、日本のバブル生成・崩壊のプロセスでは、不動産の動きに大きな違いがある株価と地価が上下とも同方向に動いた1980年代以降の日本と異なり、中国では逆連動している

市場間でのマネーシフトが背景だが、株安による逆資産効果が相殺されることで消費などへの悪影響も抑えられる可能性がある

<スイングするマネー>

中国株は昨年7月から今年6月まで1年間、上昇を続けた一方、同国の不動産価格はほぼ同期間、下がり続けた中国主要70都市の新築住宅価格は、昨年5月から今年4月までの1年間連続で前月比マイナス5月に13カ月ぶりに上昇に転じたが、今度は上海総合指数.SSECが6月12日にピークをつけ、1カ月足らずの間に約3割下落した

もともと中国株の「バブル」は、不動産市場からのマネーシフトによる影響が大きい一部都市での2軒目の住宅購入者に対する頭金比率と貸出金利を引き上げるなど、中国政府は過熱する不動産市場を抑えるために様々な抑制策を2013年ごろから次々に導入。「不動産市場から逃げ出したマネーが株高を演出した」(SMBC日興証券・投資情報室中国担当の白岩千幸氏)とみられている。

中国経済の成長率が7%台に減速しているにもかかわらず、上海株は1年間で2.5倍に上昇株式市場の過熱感を感じた投資家の一部が不動産市場に戻り始めたことで、株価が天井を打った一方、住宅価格などの下落には歯止めがかかったようだ

相次ぐ金融緩和であふれたマネーは都市部の不動産に再び流入し始めている新築住宅価格で深センは前年同月比で7.5%上昇と、70都市で上昇率トップ。前月比でも6.6%値上がりした北京市と上海市は1年前と比べると下落したが、前月比ではぞれぞれ1.1%、2.2%値上がりしている

 

他方、日本の1980年代以降に起きたバブル生成・崩壊の過程では、株価と地価が連動して動いた

バブルのスタート時点をどこにするかには諸説あるが、プラザ合意のあった1985年を起点とすると日経平均は1989年末に付けた3万8915円(終値)の史上最高値まで約3倍に上昇地価は株価に若干遅れるペースだったが、商業地の市街地価格指数はピークの1991年に4倍に達した

金融緩和と景気拡大によって膨らんだマネーが、株式市場と不動産市場にともに流入。土地含み益の増加をはやして株高が加速し、そのマネーが再び不動産市場に入るというスパイラル的な「バブル」形成だった

その「好循環」が逆回転したことで、株式市場と不動産市場は深い底に落ち込んでいったまず株価が下落し、日経平均は3カ月間で3割下落。その後、一時的な上昇はあったものの、下落基調は変わらず、2008年10月には6994円(安値)を付け、ピークから82%下落した

不動産市場では株価に少し遅れて「土地神話」が崩壊市街地価格指数(商業地)は1991年にピークを付けたが、2013年までに86%下落した不良債権問題によって銀行の間接金融機能が低下。企業業績の悪化に拍車がかかるなど株安と不動産下落の連鎖が、バブル崩壊の影響を長引かせた一因だ

<「若い」相場にゆがみも>

株安による中国消費への影響が懸念されているただ、今回の株高期間中の消費動向をみると、比較的堅調ではあったが、大きく伸びたわけではなかった株高効果を不動産価格下落のマイナスが打ち消した可能性がある

その逆で、今回の株安局面でも、株価と不動産価格が逆行している中国ではかつての日本ほど「逆資産効果」の悪影響は出ないかもしれない。また、株式と不動産の間でマネーがスイングしている限りは、大きなバブル生成・崩壊には至らないとの声も少なくない

 

上海総合指数はピークから3割下がったが、14日終値時点で、年初からは21%、昨年6月からは91%上昇した水準にあるこのまま下げ止まれば、「調整」の範囲内との見方もできる中国ウォッチャーの間からは「今回の中国株上昇はそれほど過熱した感じがしなかった」(大和総研・シニアエコノミストの斉藤尚登氏)との指摘も多い

それにもかかわらず、中国政府がなりふりかまわない株価対策を矢継ぎ早に打ち出したのは「メンツ」の問題があったのではないかと、双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏はみる「バブルではないと言ってきた手前、引っ込みがつかなくなったのだろう。しかし、まだ『若い』相場に介入したことで、市場にゆがみが出るおそれがある」と指摘本当のバブルはこれからやってくるのかもしれない、と話している

 

参考 ロイター 2015.07.15

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