中国→キツネ狩り

中国の習近平(シージンピン)政権は今春から、汚職摘発を逃れて米国やカナダなど国外に潜伏する共産党幹部らを追跡する「天網行動」を展開している

天が張り巡らした網のように「腐敗分子」を逃がさず摘発し、求心力維持に利用したい思惑がある

◆資金移し「勝ち逃げ」

習政権は、昨年から海外に潜伏する犯罪者を摘発する「キツネ狩り作戦」を進めてきた。今回、新たに、党の調査機関・中央規律検査委員会を司令塔に、標的を汚職官僚に絞って始動させたのが天網行動だ

国内の大物幹部を標的とした汚職摘発には「しょせんは権力闘争」(政府関係者)と冷めた見方も強まっているそこで巨額の資産を海外に移して「勝ち逃げ」を図る「裸官」といわれる腐敗官僚に矛先を向けることで、貧富の格差に不満を強める国民のガス抜きを図る狙いがある

中国メディアによると、1990年代以降、党幹部ら1万8000人以上が約8000億元(約15兆2000億円)を持ち出し、海外に逃亡したとされる

◆最初の戦果

中国中央テレビは3月末、昨年末に贈収賄事件の捜査から逃れ、ラオスに潜伏していた天津市の国税局元幹部と貿易会社元社長が公安担当者に連行されて帰国する場面を伝え、天網行動の「最初の戦果」と訴えた

ただ、最大の潜伏先とされるのは犯罪人引き渡し条約を結んでいない米国やカナダだ。習政権は米国などに追跡対象者リストを提出し、捜査協力を要請する一方、「官製メディアを動員した取材攻勢などで圧力をかけ、出頭に追い込む」(党関係者)手法をとるとみられる。党幹部によると、規律検査委トップで習国家主席の「盟友」、王岐山(ワンチーシャン)氏が協力強化を求めて近く訪米することも検討中という

◆キツネ狩り作戦=中国公安省を中心に昨年7月に始まった海外逃亡中の犯罪者追跡キャンペーン。昨年末までに東北部・遼寧省の地方幹部ら米国やシンガポールなど69か国・地域に潜伏していた680人を摘発したうち390人が出頭し、残る290人は現地で拘束され、送還された

参考 読売新聞 2015.04.10

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