世界初の2系統EPSモーターは3割小型化

デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25~27日、パシフィコ横浜)において、制御回路とモーター巻き線を2系統化した電動パワーステアリング(EPS)用機電一体モーターを出展したどちらか一方の系統が故障しても操舵のアシストに必要な出力を維持できるようにしながら、従来の電動パワーステアリング用モーターより3割の小型化と、2割の軽量化を図っている。ジェイテクトが「世界初」(同社)の2系統電動パワーステアリングとして製品化し、トヨタ自動車の「アルファード/ヴェルファイア」や「プリウス」に搭載されている

【モーターの高密度巻き線技術などその他の画像】

●万が一に備えて50%ずつ分担

出展した電動パワーステアリング用モーターは、“万が一の故障”でステアリングの電動アシストが働かなくなった場合に備えたもの。電動パワーステアリングから電動アシストがなくなると、当然ステアリングは重くなる。

そうなると、人間が運転し続けるのが難しいのはもちろん、自動運転車も走行を継続できなくなる。「故障しないのは重要なことだが、絶対に壊れないものを製品化するにはコストがかかりすぎるそこにコストをかけるのではなく、万が一の場合にも安全を確保する方向に進んでいく」(デンソーの説明員)。

2系統に分けられているのは、電動パワーステアリングのECU内の制御回路とモーターの巻き線だ。出力を50%ずつ分担している。通常の状態では両方の系統が協調して動作し、万が一の場合は50%の最大出力が確保される仕組みだ

50%の出力であっても運転感覚はほとんど変わらない。電動パワーステアリングのモーターがアシストする際の出力は常に100%ではなく、街乗りなど通常走行で10%、ステアリングを切る回数が増えるワインディングの走行で30%しか使っておらず、駐車時の据え切りで80%となっている。「2系統電動パワーステアリングが故障しても、駐車時にステアリングが重くなる以外には支障はない」(同社の説明員)。

 今後は、現状の中型車向けよりも1.5倍の出力を持った上級セグメント向けの電動パワーステアリング用モーターもそろえる計画だ

●2系統化しても通常のモーターより小さい

出展した電動パワーステアリング用モーターは、従来の1系統のものよりも小型軽量化を図っている。出力を50%ずつ分担することにより発熱しにくくなり、従来ほどの冷却が不要になるためだ。また、高密度の巻き線を採用することにより、モーター本体を小型化した

この高密度の巻き線技術「セグメントコンダクター方式」は、U字型に連続して折り曲げた線を組み合わせることにより、軸方向のサイズを薄くすることができるまた「巻き線内で銅を使う空間が増え、抵抗を少なくすることが可能」(同社の説明員)となる。トヨタ自動車のハイブリッド車「アクア」や、新型「プリウス」のモータージェネレーターで、この巻き線技術を採用している

MONOist2016.05.30

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