不動産ブーム→アベノミクスで持続か?

不動産市場では、14日の総選挙を経て安倍政権が続投すれば、脱デフレの経済政策に変更はなく、投資・開発ブームが続くとの見方が多い。ただ、住宅については地価上昇や建設コスト高騰に4月からの消費増税も重なり、販売不振への懸念も生じている。

三井不動産や住友不動産に株式投資しているヘンダーソン・グローバル・インベスターズの共同責任者、ティム・ギブソン氏はアベノミクスについて、「不動産市場に劇的なインパクトを与えた」と評価

総選挙で自民党が予想通り勝てば、「今後4年間の政権担当者が明確になり市場にとっては好ましい」と話す。

総合不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)の調査によると、日本国内の不動産取引額は、安倍政権発足直後の2013年から増加を始め、14年は11月までで約4兆3000億円となっている。15年は5兆5000億-6兆円に拡大すると予測しており、07年の「ミニ・バブル」当時の7兆円超に近づくことになる

不動産ブームを支えるのはアベノミクスの「第一の矢」である日本銀行の大規模金融緩和によるマネー流入だ。基準地価(7月1日時点)で商業地は2年連続、住宅地は6年ぶりのプラスに転じた。また、「第二の矢」の財政出動で建設需要も底上げされ、安倍晋三首相は選挙戦で成果を訴えている。日経など全国各紙の選挙戦の情勢分析によると、定数475議席に対し自民単独で獲得議席が300を超える勢いだ。

野村証券のアナリスト、福島大輔氏は「自公連立政権が続くのならばアベノミクスも継続する」とし、「資産価格の上昇や投資の活発化は基本的に続く」との見方を示した。しかし、マンションなど住宅市場は4月の消費増税以降、低調であり「来年度以降のローン減税の見通しが立つまで低調なままとなるリスクがある」と懸念する。

外資と観光開発

世界的な金融緩和で投資マネーが溢れる中、グローバルに投資機会を探る外国人投資家は国際的に割安感の残る対日投資を積極化させている

米資産運用大手のブラックストーン・グループは11月、日本の住宅不動産事業を1900億円超で取得すると発表。

シンガポール政府投資公社も10月に、東京駅前のパシフィックセンチュリープレイス丸の内を約1800億円で取得するなど、大型取引が相次いでいる。

20年東京五輪を見据え都心再開発も勢いづき、森ビルと三菱地所は各1兆円規模の投資を表明。金融緩和で加速する円安も訪日外国人観光客の増加に寄与し、観光開発を刺激する。森トラスト・ホテルズ&リゾーツの伊達美和子社長は、安倍政権が力を入れる地方創生で「観光業も一つの重要なアイテムだ」とみて、京都に高級旅館を建設する。

JLLのまとめでは、今年は米ハイアットホテルズのアンダーズなど外資系の開業が相次いだ。五輪をにらみハイアットはさらなる開業も計画するほか、ホテルオークラ東京は62年の創業以来初めての建て替えを予定する

過熱感

アベノミクス効果で押し上げられた不動産投資市場は、その効果を受けた2年目の今年に入り、一部で過熱感を示し始めている

住宅低調

一方、住宅販売は4月の消費税増税後の反動減からの回復が遅れている。不動産経済研究所の調べでは、首都圏マンション発売戸数は10月まで9カ月連続の前年割れ。「年明け1-3月のマンション販売や住宅着工があまり戻らないようだと要注意だ」と、JPモルガン証券の穴井宏和アナリストは話す。

建築単価は地価上昇や公共事業の増加で3割上昇。しかし、実質賃金が16カ月連続で減少する中、価格転嫁は困難だ。マンションや戸建て住宅の分譲を手掛ける中堅デベロッパー、フージャースの伊藤晴康取締役は「今までの価格帯では建築できなくなっているのに、エンドユーザーの給与は上がっていない」と困惑している。

伊藤氏は、「無理に利幅の薄い首都圏で商売するよりも地方に行った方がいい」と話し、商圏を首都圏から関西や東北地方などにシフトさせていく考えを示した

参考 Bloomberg  2014.12.12

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