三菱自、存続の危機→ルール無視25年

 三菱自動車が燃費試験データを操作し、主力軽自動車の燃費をかさ上げしていた測定方法は、25年前から道路運送車両法の規定に違反。問題車種の販売停止で、4月の軽販売台数はほぼ半減した。2000年、04年のリコール(無償回収・修理)隠しに次ぐ3度目の不正で、三菱自は存続の危機にひんしている。全容解明では、不正の広がりと経営陣の関与の有無が焦点となる。

【会見詳報】三菱自動車、軽自動車で燃費不正

◇5回引き上げ
国土交通省は不正の再発防止に向け燃費審査の体制強化に着手。2日からは外郭団体「交通安全環境研究所」で三菱自が不正を認めた4車種の燃費・排ガスの再試験を始め、「6月中に結果を公表する」(藤井直樹自動車局長)方針だ。この結果によって同省は、量産に必要な国の型式指定を取り消す必要があるか判断する

三菱自がデータを操作したのはタイヤと路面の摩擦や車体が受ける空気抵抗で決まる「走行抵抗値」だ13年6月に発売した「eKワゴン」(日産自動車名「デイズ」)の最良燃費タイプの開発では、当初はガソリン1リットル当たり26.4キロだった燃費目標を、社内会議の承認で5回も引き上げ、最終的に29.2キロとした。これを国の試験で達成できるよう、実測値の中央値ではなく、有利な走行抵抗値を意図的に選び提出していた

さらに派生タイプと一部改良タイプでは走行抵抗値を実測せず机上で算出目標燃費から逆算してデータを作っていた。最良燃費タイプとつじつまを合わせた疑いもある

燃費目標の引き上げをめぐって、中尾龍吾副社長は「開発責任者が可能と結論を出した時に提案する。上からやれという格好ではない」と説明しつつも、「結果から見れば、プレッシャーがかかった」と認める

◇違反は数百万台?
測定方法の規定無視は25年前にさかのぼる。中尾副社長は「1978年から『高速惰行法』で走行抵抗値を出し、91年に日本の測定法が『惰行法』に変わったが(対応)しなかった」と説明。相川哲郎社長は「これでいいと思ってやり始めたのが伝承された可能性もある」と推定するが01年には二つの方法でどの程度の差が出るか計算しており、遅くともこの時期には違法性を認識していた疑いがある

測定方法が違反だった車両について、三菱自は「調査中」と繰り返し、正規の方法で測定したと明言するのは「アウトランダーPHEV」などわずか3車種にとどまる91年以降の国内販売車は70車種を超え、数百万台規模に上る

◇「いい軽」責任者
相川社長は「いい軽(eK)」をつくろうと01年に発売した初代「eKワゴン」で開発責任者だった。測定方法違反については「全く承知していなかった」といい、「(走行抵抗値測定は)実務的な仕事で担当部署以外は通常関与しない。知らないと開発の取りまとめができないわけでない」と釈明している。

不正への組織的関与の有無は外部の弁護士による特別調査委員会の解明を待つことになる。相川社長は「特別調査委の報告を聞くまで社長の責任を果たす。会社の存続に関わる大きな事案だ」と当面続投し、問題の収拾後に進退を明らかにする考え。燃費目標の引き上げを重ねた当時の社長だった益子修会長とともに経営責任は不可避だ三菱自は11日までに、不正の調査状況を同省に再報告する

時事通信2016.05.07

 images-3-48-150x150images

【関連する記事】