三菱自→電撃的に日産と業務提携へ

双方の思惑が絡んで、急展開の動き

三菱自動車の燃費データ不正問題は、発覚からわずか3週間で、日産自動車との電撃的な資本業務提携へと発展した日産は当初、三菱自との軽自動車分野での提携解消も視野に入れていると見られていたが、選んだ道は三菱自への資本参加による経営支援だった。国内雇用とスリーダイヤブランドの維持のため、日産に支援を仰ぎたい三菱グループと、国内やアジア販売で三菱グループとの連携を強化したい日産双方の思惑が絡んで、資本提携に向けた動きが急展開した

三菱自は一連の燃費データ不正で軽の生産・販売を停止、普通車などでも販売不振に陥っていた。同社最大の生産拠点、水島製作所(岡山県倉敷市)の生産車の半数は「デイズ」など日産向けの軽。日産が今回の不祥事を機に軽の生産委託を取りやめれば、三菱自は水島製作所の大幅リストラだけでなく、自社向け軽の採算も悪化し軽市場からの撤退すら余儀なくされるところだった。三菱自の益子修会長は11日の記者会見で、「日産との提携関係を続けたい」と日産に秋波を送っていた

三菱自は利益の大半をアジアなど海外市場で稼いでおり、「国内市場限定の軽から撤退しても経営への影響は限られる」(アナリスト)との見方もあった。しかし、その場合、国内販売網や下請け企業などの大幅なリストラが避けられない。国内屈指の企業集団、三菱グループの一員として、その選択肢は取り得なかったとみられる。

 一方、日産は以前から、ガソリン代や税金など維持費の安さでシニア層に人気の軽の強化を模索してきた。三菱自の不祥事を機に軽の生産委託を解消し、自社生産に切り替える選択肢もあったが、軽を効率的に生産するには既存の自社工場を大幅改修する必要があり、軽市場で4位に過ぎない日産が採算ラインに乗せられるか不安もあった。

そこで着目したのが、三菱自の大株主でもある三菱商事など三菱グループ主要各社からの支援要請だ三菱自は世界中に営業網を持つ三菱商事の支援により、アジアなど新興国で販売台数を伸ばしている。トヨタ自動車などのライバルに比べ、東南アジア市場で出遅れている日産にとって、三菱自を媒介に三菱商事などとの関係強化を図れることは魅力的だった。三菱グループとのつながりから日産車を販売する機会も生まれ、トヨタが席巻する国内役員車市場などへの切り込みも図れる。

三菱自と日産の両社は資本提携と並行し、具体的な業務提携強化の内容を模索する方針だ。【宮島寛、工藤昭久】

毎日新聞2016.05.12

    images-3-48-150x150images

【関連する記事】