三菱自→燃費不正、グループ支援不透明

 三菱自動車の燃費データ不正問題は同社の経営を揺るがす事態に発展しかねない2000、04年の相次ぐリコール(回収・無償修理)隠し問題を受けて、倒産寸前に追い込まれた三菱自は三菱グループの全面支援を受けて再建を進めてきた。しかし、今回の不正では顧客への補償など多額の資金が必要になるうえ、販売面でのダメージも避けられない。三菱グループがどの程度支援できるかは不透明で、三菱自が再び存続の危機に立たされる可能性もある

「再建に協力してきた苦労は何だったのか。不正に手を染める企業体質を変えることは難しい」。三菱自の再建にかかわった三菱商事幹部は半ばあきらめ顔で語った。

リコール隠し問題の発覚を受けて筆頭株主だった独ダイムラー・クライスラー(当時)が三菱自への支援を打ち切った04年、同社は販売不振も重なって倒産寸前まで追い込まれた窮地を救ったのが三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の御三家と呼ばれる三菱グループ主力3社だ。3社などは5400億円の金融支援を実施。三菱重工会長だった西岡喬氏が三菱自会長を兼務し、三菱商事出身の益子修氏を社長に就けるなど、グループの総力を挙げて再建を支援した

三菱自は金融支援で財務基盤を強化し、軽自動車などに注力した結果、13年に累積損失を解消。円安の追い風もあり、15年3月期の最終(当期)黒字は1181億円と過去最高を達成。再建が軌道に乗ったところでの今回の不正だった

三菱自は4000億円規模の手元資金があり、当座の資金繰りに支障を来すことはないとみられる。だが、エコカー減税の対象外だったことが判明した場合の減税分の返納など、不正の対応に多額の費用がかかる見通し。三菱重工幹部は「度重なる不正による企業イメージの失墜で販売への影響も避けられない」と懸念する。

排ガス規制逃れ問題を起こした独フォルクスワーゲン(VW)は米国で約48万台の対象車両の買い取りや補償を決めた。三菱自で不正が発覚した62万台についてVWと同様の補償などを行えば、対応費用はさらに膨れ上がる

三菱グループ企業の経営環境も厳しさを増している。三菱商事は資源価格が下落した影響で、16年3月期決算は創業以来初の最終赤字を見込む。三菱重工も大型客船事業で損失が発生し、最終減益の見通しだ。

同社の宮永俊一社長は毎日新聞などの取材に「不正は大変残念だ。さらなる支援をするかどうかなどは十分な情報を得てからでないと判断できない」と述べるにとどめた。【工藤昭久】

◇◇エコカー減税◇

省エネや環境保護を目的に、排ガスや燃費の一定の基準を満たした自動車に対し税金を減免する制度で、2009年度に導入された。軽自動車の場合、購入時にかかる自動車取得税(地方税)を通常は購入価格の2%分支払うが、対象車なら0~1・6%に軽減される。購入時や車検時にかかる自動車重量税(国税)も通常7500円だが0~5600円に軽減される。軽自動車の国内販売台数に占めるエコカー減税対象車は約8割

毎日新聞2016.04.23

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