一党支配「政党制」に危機感

「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70年」を記念して中国共産党・政府が3日、北京で行った軍事パレードでは、最先端の国産兵器が続々と登場した「抗日」と「軍事パレード」を一体化させることで、習近平国家主席(共産党総書記・中央軍事委員会主席)は、権力基盤の強化と国威発揚を狙ったしかし、空前の政治舞台は一党体制の正統性をどう維持していくか、習主席の危機感と苦悩の裏返しでもある

◇日本倒して「大国」に
日本軍国主義を徹底的に粉砕し、世界の中で中国の大国としての地位を再び確立した」習主席は軍事パレードに先立つ天安門城楼での演説で訴えた日本軍国主義を打倒して「大国」の一角を占めたという歴史観が、党の正統性を誇示するために今も必要な論理だからだ
 民主的な選挙で指導者が選ばれない共産党政権は、いかにして支配の正統性を維持するかに頭を悩ませた改革・開放後、高度経済成長が党への求心力になったが、1989年の天安門事件で体制批判が強まると、抗日戦争の宣伝強化で「愛国・愛党」のナショナリズムを高め、これを正統性の根拠と位置付けた
しかし、貧富の格差は一層拡大景気減速が鮮明になる中、株価急落に庶民の不満が高まり、爆発事故も各地で相次ぐ共産党関係者によると、習主席が主導した「反腐敗闘争」は国民の強い支持を得てきたが、最近では「没収した巨額賄賂はどこに行ったのか。貧困対策に使え」と不満が高まり、効果に陰りが出ている
 記念式典でのサプライズは、腹心が次々と逮捕され反腐敗闘争に強く反発する江沢民元国家主席ら長老が、天安門城楼で習主席と並んだことだった。「両者が歩み寄ったのでは」との臆測も出ており、国民に「団結」を示すことができた
習主席にとって「抗日」と「軍事パレード」を一体化させた舞台は、「国民を喜ばせる」(共産党筋)上で効果的な政治イベントだったことは間違いない
◇歴史観に矛盾と疑問
その一方、軍事パレードを通じて「強国」路線を前面に出す中で、「抗日戦争はそもそも国民党が主導したものだった」という矛盾も露呈した解放軍歴史研究室の研究員は記者会見で「日本打倒で中国が決定的な力を持った」と強調したが、「(当時の)主力軍はソ連、米国、英国の3カ国だった」と解説する国防大学教授の文章がインターネット上で流れ、共産党の歴史観への疑問が相次いだ
不満と疑問の声は軍事パレードへの招待客にも及んだ
習主席が天安門で固く握手を交わした首脳の中に、戦争犯罪と人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に国際手配されているスーダンのバシル大統領の姿があった。ある中国人知識人は、ネット上でこう指摘した。「バシルを(平和を訴える)反ファシズムの式典に招待して連携を強化することは、中国も戦争犯罪に協力することになるのではないか

参考 時事通信 2015.09.05

 

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