ロボット兵器が握る米海軍の未来

航空戦の概念を覆したロボット技術が、近い将来、海の中にも革命をもたらすことになりそうだ海中に潜む「スパイ衛星」に、無人機を発射する海底ポッド、対潜水艦無人船舶――米軍の研究機関は3月末、空と陸に続いて海の戦術を一変させるだろう画期的な新技術の開発計画を発表した

構想が明らかにされた新システムの1つに、海底に設置する無人機の格納ポッドがある。米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)のジャレッド・アダムス(Jared Adams)報道官によると、必要に応じて自動的に作動し、無人機を海中や上空に発射したり、米軍が電波妨害を受けたときに臨時の通信回線を立ち上げたりできるという

「開発の動機は、無人システムを遠隔地にタイムリーに展開できるようにすることだ前もって配備しておけば、有事の際にすぐさま出動させられる」と、アダムス報道官はAFPに説明した。

「UPF(Upward Falling Payloads)」と呼ばれる同プロジェクトでは、海面までポッドを浮かび上がらせ、さまざまな搭載機器を発射する現在は潜水艦が担っている任務の一部を、より低コストで肩代わりできるという

米国の技術的優位性が縮小する中、研究者たちは今、新技術の開発に延々と時間をかける米国防総省の従来のやり方を捨て短期開発・実用化の方法を模索している

DARPAは、新兵器の開発をより迅速に、かつ「高い費用効率」で行うにはどうしたらよいかを検討していると、スティーブ・ウォーカー(Steven Walker)副局長は言う。「今日の米軍のシステムの中には、世界一の有能性を誇るものが幾つもある。だが、こうしたシステムは非常に複雑なうえ、コストは高額で、技術開発と実用化に長時間を要する

とはいえ、UPFプログラムの海底ポッドもまだ、発射システムの作動方法や海面への上昇手段、海底へ1年以上にわたって動力を供給する方法など、数々の難題を抱えているとウォーカー副局長は指摘した。

■海底の「目」

DARPAは、画期的な実験を通じてインターネットやステルス機、無人機、誘導爆弾(スマート爆弾)、マイクロ技術などの開発に貢献してきたことで知られる。

現在力を入れている海事研究には、海底に「スパイの目」を設置するというプロジェクトもある。この「DASH(Distributed Agile Submarine Hunting)」システムは可動式と固定式の2種類を検討中で、米軍が他国の潜水艦を探索する「海中における偵察衛星」の役割を果たすことが期待されている

■「海のハンター」

DARPAで開発中のプログラムのうち、近く実用化される可能性があり対潜水艦戦(対潜戦)を様変わりさせるとみられているのが、対潜無人船舶システムだ海上に無人の「幽霊船」を配備し、敵の潜水艦を追跡させる。これにより、現在この任務を担う海軍艦船を他の任務に回せるようになる。

 潜水艦の探索は、時間も費用もかかることで知られる特にディーゼル潜水艦は、動力機関の駆動音が非常に静かで探知が困難だ。「ACTUV(Anti-submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vessel)」と呼ばれるこのプロジェクトが成功すれば、海軍のあり方を根本から大変革させるだろうと米当局者は語る

「ACTUV」プロジェクトでは、船体全長約40メートルのロボット船舶「シーハンター(Sea Hunter)」を開発中だ。先日、ミシシッピ(Mississippi)州沖の海上でやや小型の実験用船舶を使って実施された6週間の試験では、1度も衝突することなく合格した。次の試験ではフルサイズ模型を使って、1キロ先の船舶を追尾する性能を確認する予定で、DARPAとしては今秋にも米海軍の協力を得て実施したい考えだ。

「ACTUV」は現行の潜水艦に比べて機動にかかる費用が安上がりで、しかも敵の潜水艦を効率よく追跡できる可能性を秘めている。DARPAのウォーカー副局長は、「費用方程式をひっくり返す」システムだと述べている

参考 AFPBB News 2015.04.17

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