レルギーは皮膚の弱さが原因?

保湿不足で抗原侵入

異物の侵入を防ぎ、刺激や乾燥から体を守る皮膚のバリアー。その弱さが、さまざまなアレルギーの病気の発端になるという説が注目されているアレルギーは免疫が過剰に反応して起こるが、皮膚のバリアーを高めて予防につなげようという研究も進む

表皮たんぱく質重要

皮膚のバリアーが着目されるきっかけになったのは、2006年の英国での研究だ。皮膚の表面(表皮)にある角質層の主要なたんぱく質「フィラグリン」にかかわる遺伝子に変異があると、アトピー性皮膚炎を発症しやすくなると報告した

フィラグリンは分解されると天然の保湿成分として働き、皮膚のバリアーの形成や水分を保つのに重要な役割を果たすとされる

名古屋大の秋山真志教授(皮膚科学)によると、この遺伝子に変異があると、フィラグリンをつくる量が半減またはなくなってバリアー機能が弱まり、アレルギーを起こす抗原が体内に入りやすくなると考えられる

秋山教授らが日本人で調べたところ、アトピー性皮膚炎の人の27%に変異があった。ただし、変異があっても発症しない人もおり、「気候や生活習慣なども影響する。ほかにも皮膚のバリアーにかかわる遺伝子があるかもしれない」と説明する。

慶応大の天谷雅行教授(皮膚科学)らは、死んだ細胞の積み重なりとされてきた角質層を詳しく調べた。すると、水分保持層などの3層で構成され、バリアーの機能を発揮していた。3層を通過した抗原を、免疫反応をつかさどる活性化した「ランゲルハンス細胞」が突起を伸ばして取り込む様子を可視化することに成功。過剰な免疫反応であるアレルギーが、皮膚経由で起きる仕組みの一端を解明した。だが、炎症やかゆみがなぜ起こるのかは解明されていない

気象庁のデータでは、ここ100年で都市部の湿度は15%ほど減少し、皮膚の水分が失われやすくなっている。天谷教授は「皮膚にとっては厳しい環境だ。洗いすぎも角質層のバリアーを失わせるので、体をごしごし洗う必要はない」と助言する。

乳児期の湿疹原因か

英国では、ピーナツアレルギーの子は、ピーナツ由来のオイルを塗る頻度が高かったという報告がある。食品を食べなくても、皮膚から微量に取り込まれることで、食物アレルギーを発症する可能性がある。

「バリアー機能を高めれば、アレルギーの発症を抑えられるのではないか」。国立成育医療研究センターなどのチームはこうした仮説をもとに、生後間もない乳児に毎日、保湿用の乳液を約8カ月間塗ってもらい、アトピー性皮膚炎の発症の有無を調べた。その結果、スキンケアをしていない乳児に比べて、発症率が3割少なくなり、バリアーを高めることが発症予防につながることを示した。また、湿疹や皮膚炎のある乳児は、卵アレルギーを起こす可能性を示すIgE抗体の値が高かった

子どもの場合、成長とともに、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎と進む傾向があるため、「アレルギーマーチ」と呼ばれる。同センター研究所の松本健治・免疫アレルギー研究部長は「乳児期に湿疹があると、さまざまな抗原が入りやすくなって、アレルギーマーチを引き起こすと考えている。湿疹を放置せずに早く治療することが食物アレルギーやぜんそく、花粉症などの発症予防につながる可能性がある」と推測。同センターを中心に臨床研究に取り組む計画だ。

参考 毎日新聞 2014.12.18

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