ルーブル急落→攻勢を強めるオバマ政権

オバマ米政権がウクライナ問題をめぐるロシアへの経済制裁で攻勢を強めている

今年初めには1ドル=32ルーブルだったルーブル相場は今月16日には一時、1ドル=80ルーブルの安値を記録

バラク・オバマ大統領(53)はロシア経済が危機の瀬戸際にあるとみて、さらなる経済制裁強化も視野に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(62)に圧力をかける構えだ

ただしプーチン大統領らロシア側は経済制裁に屈するそぶりはみせておらず、オバマ氏の攻勢がロシアからの妥協を導き出せるかどうかは不透明だ。制裁強化はプーチン氏の暴発という不測の事態を招くリスクもあり、米露の緊張関係は先が見通せないままだ

■「危機の瀬戸際」と断言

「私がプーチン氏のアドバイザーなら、現在の経済状況を非常に懸念しているだろう

ジェイソン・ファーマン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長(44)は16日、ホワイトハウスの定例会見に同席し、通貨ルーブルの急落に見舞われるロシア経済を哀れんでみせた

またファーマン氏はロシア経済を「危機の瀬戸際に立たされている」と断言。「(ウクライナ問題などで)国際的なルールに従わなかった結果だ」とも話した。ウクライナへの軍事介入などで自ら危機を招いたプーチン氏に対するホワイトハウス内での嘲笑が聞こえるようだ。

米国は3月、ウクライナ問題をめぐり、プーチン大統領の最側近らの資産凍結や米国への渡航禁止措置を行うと発表。その後も7月に国営石油企業ロスネフチなどエネルギー産業の大手企業を狙った経済制裁を決めるなど、欧州と協調のうえで段階的にロシアへの圧力を強めてきた

それまで1ドル=30ルーブル台で推移してきたルーブル相場は10月ごろから下落が加速。さらに石油輸出国機構(OPEC)が11月末に減産を見送ったことで原油安に拍車がかかると、国庫収入の約半分を原油に頼るロシアが打撃を受けるとの見方から、ルーブルは急落し、輸入物価の上昇を通じて国民生活に深刻な影響を与えている。ロシア中銀は政策金利を17.0%まで一気に引き上げるなどの対策をとってはいるが、ロシア経済の不安が解消されたわけではない

■いつでも制裁強化が可能

オバマ氏は18日にはロシアへの経済制裁強化を可能にする法案に署名。現段階では発動を留保する意向を示しているが、いつでも制裁を強化できる態勢を整えながら、プーチン氏の出方を慎重にうかがっているかたちだ

しかし欧米による経済制裁がプーチン氏を翻意させることができるかどうかは不透明だ。プーチン氏は18日の記者会見ではロシア経済悪化の「25~30%」は欧米による経済制裁の影響だとの認識を示したながらも、経済の現状はウクライナ問題の結果ではないとも強調ロシアの軍事介入を批判する米国が巨額の国防予算を維持していることを糾弾するなどして、欧米との対決色を鮮明にしている

またロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(64)も欧州メディアの取材に対して「ロシアはこの危機を乗り越えるだけでなく、さらに強くなって戻ってくる。過去にはさらに厳しい状況に立たされたこともある」と述べるなど、強気の姿勢だ

■プーチン氏の暴発リスク

こうしたロシアの態度の背景にはこれまでの原油売却で貯め込んだ4000億ドル(約48兆円)もの外貨準備を市場介入に使えるという事情があり、ワシントンの国際金融機関の関係者は「そう簡単にルーブルが完全に売り崩されるわけではない」と分析している。

経済制裁がロシア経済を厳しい状態に追い込みながらも、プーチン氏がウクライナ問題で欧米との協調姿勢を示さない状態が長期化すれば、オバマ氏はさらなる制裁強化に踏み切らざるをえなくなる。これ以上の経済制裁がどれだけロシア経済に直接的なインパクトを与えるかどうかは不明だが、オバマ氏が拳を振り上げるだけでルーブルに売り圧力がかかり、さらにロシア経済を追い込む可能性もある

ただしこうした展開はロシアと欧米との間の緊張をエスカレートさせ、プーチン氏が不測の行動に出る危険性を高める側面もある。米有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のブルース・ジョーンズ氏は「欧米が本当にロシア経済の背骨を折るようなことになった場合に、どのような結果が生じるかを見通せているわけではない」としている。

参考 産経新聞 2014.12.27

【関連する記事】