マッサージに通っても不調が改善しない人

 こんにちは。プロスポーツアスレティックトレーナーの池内誠です。

私はIT関連企業の診療室で、マッサージや鍼灸などの施術を行っています。社員の方々には、「仕事の合間に肩こり・腰痛など身体の不調を解消できるから、仕事の効率が上がる」と大変喜んでいただいています

それにしても、誰しも少しぐらいは自分自身の身体のパーツで気になる部分があるものです。そうなると、自然とモチベーションも下がり、姿勢も悪化するなど、プラスになる事はありません。

診療所や施術室のある企業は少ないかもしれませんが、会社帰りや休日に、様々な施術を受けに行くビジネスマンの方は多いのではないでしょうか

昔からあるものから新しいものまで、本当に様々な治療院・業態が増えていますね。

接骨、整骨、鍼灸、あん摩、指圧、マッサージ、整体、カイロプラクティック、リフレクソロジー(足裏マッサージ)、ボディケア、ストレッチ、アロマセラピー等々…

読者のみなさんも一度くらいは、このいずれかに行ったことがあるのではないでしょうか? そして、施術のあとの体調はいかがでしたか? 症状は行く前より良くなりましたか?

もし、その“結果に“大満足”なら、何の問題もありません。しかし、必ずしもそうとは限りませんよね。

「週1回マッサージに通っているのに、ずっと調子が悪いんだよ

なんて言っている方はいませんか? 「変化なし」ならまだ良い方で、「悪くなった」という本末転倒の方もいらっしゃるかもしれません

では、マッサージなどの施術に通っても、身体の不調が改善しないのはなぜでしょうか? 今回は、その理由を考えてみましょう。

● マッサージなどの施術へ 不満の声が多数!?

今回のテーマをお話しするにあたり、私が施術を担当している患者様に質問をしてみました。

「マッサージや鍼灸に行ったことはありますか? その後の体調はいかがでしたか? 」

と。すると、こんな声が挙がりました。

マッサージに行っても、全く効かなかった
痛みが悪化した

どちらかというと、不満の声が目立っているように感じました。多少の不調であれば、改善すると徐々に忘れてしまいがちなので意見として出にくい、とも言えるでしょうが、対価に見合った満足感を得ている方のほうが少ない印象でした

では、なぜマッサージが効かなかったのか。「施術者の腕が悪かった」と言ったら、それまでかもしれません。しかし、理由はそれだけでしょうか。

ほかには、こんな声もありました。

「いつ、どんなときに、どの施術を受けたらいいのか分からない
「色々あるけど、結局どれが一番効くんですか? 」

実は、これらの問題を解決できれば「マッサージが効かない」という不満は少なくなるはずなのです。

ではまず、“いろいろある”といわれる施術には、どんな種類があるのか、詳しく見てみましょう。

● 施術の目的を 間違えていませんか?

マッサージなどの施術は、国家資格の有無で大きく分けることができます。まずは、一般的な国家資格の種類を見てみましょう

国家資格の種類
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師
・きゅう師
・柔道整復師(接骨院・整骨院の施術、開業ができる)

これらは、健康保険や労災保険が適用できる治療院も多く存在することが特徴です

 ちなみに、あん摩マッサージ指圧師の「あん摩」は、あまり聞き慣れないかもしれませんが、「マッサージ」との違いがはっきりしていないのが実情です。教科書通りに言うと、マッサージとは多くが“求心性”のもの。求心性とは、身体の末端、手足の指先から心臓に向かってマッサージしていくことです。

求心性の反対に遠心性がありますが、これは心臓から身体の末端へ流していくもので、あん摩・指圧のときに用います。求心・遠心の善し悪しはなく、私はそれぞれ使い分けています。

これらのマッサージについては、国家資格がなければ施術は不可能ですしかし現在は国家資格なし、民間資格でも施術・開業が多く見られるようになりました

上記以外の整体、つまりカイロプラクティック、クイックなどに関しては、国家資格はありません。もちろん、それぞれ民間の資格やスクールもあります。確かにそれぞれで技を磨いていらっしゃる方も大勢います。

ここで言いたいのは、資格がない=良くない施術ということではありません。私が問題だと思うのは、施術を受ける側の人が「治療」目的なのか、「リラクゼーション」目的なのか、ハッキリしないまま施術を受けに行っている、という点です

例えば、腰が痛いという症状があるときにリラクゼーションを売りにしているマッサージ屋さんに出向いても、「効かない」となるわけです

一方で、立ち仕事で足がむくんでいる、長時間のパソコンで背中が疲れた、身体が緊張しているのでリフレッシュしたい、という話であれば、自分に合ったリラクゼーションを選んで行けば、不調は改善されるでしょう。

つまり、「自分の身体がいま、どんな状態か。どんな施術で状態が良くなりそうか」ということを日頃から考えて、施術所・治療院などを選ぶべきではないでしょうか

私の見解ですが、痛みがある場合は国家資格のある人が施術をする治療院疲れやコリの場合は自分の好きなところ、さらには自分に合う施術者を見つけて、かかりつけを作ると良いと思います

● 「肩が凝っていますね」 そう言われて喜んではダメ

マッサージなどで肩を触られたとき「凝ってますね~」と言われて、何だか嬉しくなっていませんか? しかし肩こりとは、多くの方が訴える症状であり、それだけで「自分の身体の状態を分かってくれた」ということにはつながりません。

足裏マッサージのときに「胃が悪いですね」なんて言われる話もしかりです。確かに、足裏に各器官や内臓の反射区というものがあるので、足裏は体調を投影するものと言えると思います。しかし、反射区を押すだけで、悪かった胃が突然治ったことはありません。もちろん、足裏をほぐすと身体の循環が良くなり、回復に向かうこともあるので、足裏をほぐすことは非常に大事なことです。しかし、本当に内臓が悪い場合に行くところは、足裏マッサージではなく、別の医療機関であり、生活習慣の改善なのです

また、様々な施術は、必ずしも即効性のあるものでもなく、症状によっては、施術後に徐々に快方に向かう、という長いスパンで見なければならない場合も多いです。施術後は、良くも悪くも、“波”を打たなければ、改善につながりません。施術前後は、自分の身体としっかり向き合って「これから良くなりそう」または「明らかに効かなかった」など、何らかの判断をしっかりしていきましょう。

● 大事なのは、「どんな人に施術してもらうか」

編集部の方に「良い施術をしてくれるところは、どうすれば見つかるんですか? 」と質問を受けました。

しかし、その答えは非常に難しいです。色々行ってみて、自分に合うかどうか試してみるほかないのかもしれません。

回答になっているかどうかわかりませんが、先ほど言った(上記の)施術を受ける側の人が「治療」目的なのか「リラクゼーション」目的なのかハッキリと見極め、その目的にしっかりと合った施術所を、まずは探してみてはどうでしょうか

患者さんに聞いてみた中では、「どこへ行くか」ということ以上に、「どんな人に施術してもらうか」が重要であると感じます

結局は、施術をしている人の技量が足りないからこそ、お客様にご満足いただけないという残念な結果につながってくるのです。例え技量が不十分だとしても、マニュアル通りに機械的に施術するのではなく、「患者さんに対して、必ず何らかの結果を出す」といった情熱があれば、「全く効かない」ということは避けられるのではないでしょうか

「全く効かないときは、施術者の向上心がないと思ってしまう」とおっしゃる患者さんもいました。我々患者さんと向き合う者にとっては、向上心というのは当たり前に持つものです。お金を払って、時間を作って、わざわざ来てくださる方に対して、何の結果も出せなければそんな意見が出るのも当然です。

私の場合、幸いなことに「池内さんじゃないと、ダメなんです」と言ってくださる患者さんもいるので、それが私自身の向上心と情熱にもつながっています。

そして、毎回お話していますが、肩こりや腰痛改善には、やはり日頃から姿勢を正すことが大切です私は患者さんに対して、口うるさく「胸を張って、肩は後ろ」など言いますが、なかなか毎日は実践できませんでも、私に言われたときや、ふと思い出したときにやっていただければいいのです。でも、本当に改善したいと思うなら、日頃から心がけてほしいと思います。身体の姿勢はもちろん、気持ちの姿勢もそう。「良くなりたい」という気持ちが、健康へとつながっていくはずです

“心と身体のバランス”が大切なのです。

(構成/安田有希子、撮影/宇佐見利明)

池内 誠

ダイヤモンド・オンライン2016.05.18

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