ピクニック→もともと屋内のアソビだった!?

「♪丘を越え行こうよ~口笛~吹きつ~つ~」。みなさん、この童謡のタイトルをご存知ですか? 正解は「ピクニック」です。ピクニックといえば天気のいい日にお弁当を持って出かけ、自然の中でのんびりと過ごす。そんなイメージがありますよね。でも、ピクニックの楽しみ方は長い歴史の中で、いろいろと変化し続けているようです。今回はそんな「ピクニック」の魅力を、TOKYO FMの番組の中でピクニックに詳しい方々に教えてもらいました。

「もともとピクニックは屋内でした
~建築家/東京ピクニッククラブ 代表 太田浩史さん

ハイキングは野山を歩くのが目的自然の中を歩いて体を鍛錬するためにやるものです。それに対してピクニックは社交もともとパーティーの形式から生まれたものなので、屋外に出なくてもピクニックですそもそも最初は「夜に屋内でやるドンチャン騒ぎのパーティー」がピクニックと呼ばれていたくらいですから。18世紀末、文豪ゲーテの書いた日記には9回もピクニックが出てきますが、「ダンスに誘われたけど歯が痛いので帰った」などと書かれています。

ピクニックという言葉が誕生したのは1649年フランスでフロンドの乱という市民戦争が起きるのですが、そのときに酷い悪口の応酬として「君がピック、僕がニックでおあいこ」みたいな言葉の記録が残っています。その「おあいこ」から「割り勘」という意味に転じて、18世紀初頭の辞書に「パリで最近流行っているパーティーで、キャバレーで歌ったり踊ったりする割り勘の集まり」と書かれるようになりました

そんなピクニックの転機になったのが1802年ロンドンでフランスかぶれの若者たちがピクニッククラブを作ったんです彼らは劇場を借り切って夜10時くらいからパーティーをしたのですが、それがスキャンダルとして注目を集めます「ライバル国の文化をロンドンのど真ん中でやるとはけしからん」というわけです。さらに当時はアマチュアが勝手に演劇をやるのも禁止されていたので、それに対する抵抗という意味もあったようです

それが現在の「屋外でやるピクニック」になっていった経緯は謎ですひとつには英国上流階級に屋外で社交する「ティーガーデン」という文化があったので、それがピクニックと結びついたのではないでしょうか。ロンドンのピクニッククラブが劇場でやった最初のピクニックの3ヵ月後、屋外のティーガーデンで行われたピクニックには皇太子も出席しています。そのあたりが屋外ピクニックの出発点だったのかもしれません

◆「ピクニックにぴったりの料理といえば」
~料理芸人 クック井上さん

SNS全盛の今、ピクニックに行ったらスマホで料理の写真を上げたいですよね。だからピクニック料理は可愛らしさが重要です。そこでおすすめなのが「オイルおにぎり」。これは握るときにちょっと油をまぶすことで油のフレーバーが楽しめるおにぎりで、たとえば高菜とベーコンを混ぜ込んだご飯にごま油のフレーバーをつければ、海苔で巻く必要がありません。それで写真に変化がつけられます。

百円ショップにお化粧落としのオイルを入れるスプレー容器があるので、そこに食用油を入れて最後に吹き付けると簡単です。おすすめの具材の組み合わせはツナとディル。ディルはお魚によく合うハーブで、なければシソでも構いません。ツナとディルを混ぜ込んだおにぎりにはオリーブ油がよく合います。野沢菜と梅もいいですし、ブリ照りとたくあんなんかもいいですね

ごま油を使うと中華料理や韓国料理のイメージになるので、チャーシューとネギを使ったり、赤貝の缶詰と春菊を使えばチョレギサラダっぽい感じになります。枝豆は和の食材ですがオリーブ油とよく合いますし、カニマヨと刻みショウガにココナッツ油をかければアジアンな雰囲気です。

男子におすすめなのは「そばめしにぎり」。焼きそばを少し残して紅ショウガと刻み、ごはんに混ぜて握ってごま油で香りを付けます。最近は「おにぎらず」ならぬ「サンドらず」も人気のようです。クレープや手巻き寿司のようにロールするサンドイッチで、ソフトクリームのコーンに付いている紙容器に入れて作ります。

フードコンテナーがあれば、ソーセージやキャベツ、玉ねぎを入れ、コンソメかハーブソルトを加えて熱湯を注ぐだけで、移動時間の間にポトフスープになります昆布茶、かつお節、梅干し、干し椎茸なら和風のスープに。これからの季節なら冷たい麺つゆもいいですね。ミョウガやショウガ、ネギ、シソなどをたっぷり入れて「食べるつけだれ」で素麺を食べると最高です

◆「ピクニックで創作に挑戦してみよう!」
~創作ピクニック部 鈴木章仁さん

創作ピクニック部は「創作」と「ピクニック」を組み合わせた活動を行っています。たとえば決まったテーマの絵をみんなで描いて画力を競う「絵心ピクニック」とか、相田みつをさんのように紙に思いついた言葉を書く「詩クニック」などです。最初に創作から始めると食べづらいし途中でお腹も空いてしまうので、まずはレジャーシートに食べ物を並べて、食べながら自己紹介。その後、創作に取り組みます

この創作ピクニックを初めて開催したのは2014年でした。「怪談ピクニック」といって、実話の怖い話をベースにいろいろアレンジしていく創作をみんなで試みました。川沿いにある恵比寿東公園に5人くらいで集まってやったのですが、怪談ということでこのときだけは夕方のピクニックでした。

「寸劇ピクニック」ではみんなでシチュエーションを決めて演劇に挑戦。もちろん参加者は役者ではありません。エイプリルフールには本当のことを言わない「作り話ピクニック」も開催しました。このときは自己紹介からデタラメで、ある女性はエジプト王室の生まれだったり、数学の先生が高校時代に柔道で全国上位だったりしました。もちろんその自己紹介は後々も引きずるので、どんどんエスカレートしていくのが楽しかったです。

先日はここで「知恵袋ピクニック」をやりました。これはYahoo!知恵袋や発言小町をモチーフにしたピクニックで、「上司と折り合いが悪くて困っています」「ドキドキするにはどうしたらいいでしょう?」なんて質問にみんなで答えを出すピクニックです。

創作ピクニック部は「Meetup」というイベントのSNSでグループを作って参加を募っているのですが、アメリカ生まれのSNSなのでMeetup全体では海外の方が圧倒的に多くて、創作ピクニック部にも外国人の方が参加を希望してくることがあります。カナダ人の方が書いた英語の詩はなかなか意味が理解できなかったりもしますが、その多様性もおもしろいところです。

(TOKYO FMの番組「ピートのふしぎなガレージ」2016年5月28日放送より)

TOKYO FM+2016.06.04

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