パートナーシップ→カップルの数だけある

皆様、前回までの中村うさぎさんのシリーズはいかがでしたでしょうか? 私は、目からウロコと言いますか、我々はもう少し自由に、性とパートナーシップを考えていいのではないかと、考えが広がった気がします

この欄では、ずっとセックスレスに関わる男女のすれ違いを書いてきました。皆様から寄せられたコメントを読むと(私は当然、すべて目を通しています)、セックスを拒まれた人はそれでパートナーシップがぐらつく思いを感じていらっしゃいますし、拒む方は求める方に対して、セックスなしでもパートナーシップは成立するのだと訴え、両者はどこまでいっても交わらないように感じていました

しかし、中村さんは特殊な事例とはいえ、セックスとパートナーシップが両立しなくてもいいという関係を最初から選ばれました。そして、互いがどこでほかの人とセックスをしても、親しい関係を結んでも、二人の間のパートナーシップは崩れないという信頼関係を、長い時間をかけて築かれています

一見、中村さん夫婦は風変わりな関係に見えます。しかし、はたから見て順風満帆な「幸福家族」を演じながら、互いの思いをすり合わせることもせず、ぎすぎすした夫婦関係を続けている「普通の男女」より、よほど健全で、幸せな関係と言えないでしょうか?

「結婚したら、婚外に恋愛やセックスは求めてはいけない」というルールがあります。最近、週刊誌のすっぱ抜きでしばしば話題になる「不倫」問題。もちろん、された側は傷つくことが多いと思いますし、子供がいる場合は、子供の安定した養育環境の危機にもつながるでしょうから、なるべく避けた方がいいのは言うまでもないことです

しかしこれまでずっとこの連載で紹介してきたように、もしかしたら、外にセックスや恋愛を求めていても、当事者だけにしかわからない絶妙なバランスが取られている例もあるかもしれません。拒まれ続けるのはみじめだし、求め続けるのは拒む相手にも負担をかけるとして、外に恋愛関係を求めて、家庭が安定しているという例も見てきました。

以前、ヨミドクターで連載していた 「高齢者の性」というブログ では、拒む夫の代わりに、外で相手を見つけることで、憎しみさえ抱いていた夫に優しくできるようになったという声も聞きました

この連載で様々な夫婦関係の形を取材すればするほど、「パートナーシップの形なんてカップルの数だけある。人生限られているのだから、周囲に迷惑をかけない程度に、自分だけの幸せの形を探せばいいのではないか」という思いになっています

私の考えもまだ固まっているわけではありませんが、皆様はどのように感じますか?(ヨミドクター編集長・岩永直子)

読売新聞(ヨミドクター)2016.05.03

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