ノーベル賞、大村智さんが貢献→疥癬治療

5日、「寄生虫によって引き起こされる感染症の治療の開発」で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した、大村智・北里大特別名誉教授。大村教授が静岡県伊東市のゴルフ場周辺から採取した土から発見した抗生物質「エバーメクチン」をもとに開発された「イベルメクチン」は、アフリカ中部で、年間の患者数が3億人と言われる感染症の危機を救ってきました。一方日本では、イベルメクチンはダニが原因で感染する皮膚病「疥癬(かいせん)」の特効薬として普及。近年では、高齢者が多く感染することで知られ、医療現場や介護現場で感染が広がるなど、問題となっている病気です

◆疥癬ってどんな病気?

疥癬は体長約0.2~0.4mmの「ヒゼンダニ(皮癬ダニ)」という小さなダニがヒトの皮下(角層内)に寄生し、「疥癬トンネル」を作って中に卵を産み、繁殖することで起こります

部位としては、指の間や膝の裏、わきの下やお腹の周囲、陰部などの湿り気のある場所です。ヒゼンダニはヒトに寄生することで生きています(肌から離れると長くは生きられません)。

症状が出るのは感染から1~2か月後と遅く、赤いブツブツが出て強いかゆみがあるのが特徴ですかゆみに耐えられずかいてしまうと、さらに細菌感染や炎症を引き起こし、症状を悪化させ、治療が長引いてしまいます

通常の疥癬であれば寄生するヒゼンダニの数は数10匹ですが角化型疥癬(皮膚が厚く硬くなり、アカがたまったような状態になる)では、100~200万匹にもなります。角化型疥癬の場合は感染力が強く、うつると数日で症状が出ることもあります。

◆感染経路は?

疥癬を発症しやすいのはカラダの免疫力が落ちている高齢者などが中心です。福祉・介護施設や医療施設で、患者の肌と触れ合うことで医療従事者や介護者が感染することが多いのです。

通常の疥癬は、少しの時間肌が触れ合った程度では感染しませんが、角化型疥癬の場合は感染力が強く、短時間の接触で感染します
また剥がれ落ちた角質やかさぶたにもヒゼンダニがいるので、それらが肌に付着することでも感染します。飛散すると介護施設や医療機関内で集団感染を引き起こしたりもします

◆「イベルメクチン」で劇的に改善

疥癬の診断には、皮膚科で顕微鏡や拡大鏡を用いた検査をします。ヒゼンダニの虫体や卵が見つかれば診断が確定します。

以前は塗り薬や、かゆみ止めの内服薬が一般的でしたが、「イベルメクチン」ができてからは、塗り薬を使わなくても、1~2回の内服で寄生しているヒゼンダニの駆除が可能となりました

通常、疥癬は3週間~1か月ほどで完治しますが、角化型疥癬の場合は完全な収束までに時間がかかることがあります。

◆特効薬ができたのに感染が広がる理由は?

疥癬は発症するまでに時間がかかるため、早期発見で感染を制御することが難しい感染症です。最近は施設介護のみならず、在宅介護も多いため、家庭でも感染が広がるケースがあり、問題となっています。

感染予防のためには、部屋のこまめな拭き掃除や換気、また基本的なことですが、手洗いを励行しましょう。患者の衣類やシーツは、毎日交換し、50℃以上の湯に10分間以上浸けてから洗濯します

患者との共用部分(トイレなど)には消毒剤や殺虫剤を使い、タオルやスポンジ、バスマットなどは家族と患者は必ず別のものを使いましょう。扱いにはゴム手袋をするのがオススメです。患者もできれば毎日入浴し、家族の最後に入るようにします浴槽に浸かるのではなくシャワーをオススメします

とにかく疥癬はダニの寄生数が少ない早い段階で治療を開始することが肝要です

参考 Mocosuku編集部 2015.10.07

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