ドローンで太陽電池守る

2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降、日本でも太陽光発電設備の設置が増え、普及が進んだ。しかし、FITの買取価格低減やメガソーラーの最適立地の減少などが進む中、今後は建設した太陽光発電設備をいかに正しく運用し、高い発電量を維持していくかという視点が重要になってきている。この流れの中、経済産業省 資源エネルギー庁でも保守点検を強化するような方針を示しており、いかに効率よく大きな敷地の太陽光発電設備の保守・点検を実現するかが重視されるようになってきた

【ソーラーモジュール検査サービスの全体イメージ】

今回のソフトバンク・テクノロジー、エナジー・ソリューションズ、サイバートラスト、M-SOLUTIONSの4社による協業も、これらの状況に対応するためのものである。

ソーラーモジュール(太陽光発電パネル)の故障原因としてよくあるものに「ホットスポット」と呼ばれる現象がある。これは、製造時のはんだ不良などの不具合や、落ち葉など異物の付着が原因となり、その部分が発熱してモジュールが破損する現象であるホットスポットにより線が焼き切れた場合にはそのストリング(1系統)で全く発電できないという状況に陥るケースもあり異常発生時に迅速に対処することが重要である

ホットスポットとなっている部分は周辺よりパネル温度が高温になっているため、赤外線(IR)カメラを利用することで発見できる赤外線カメラの検査により、ホットスポットを早期発見することで、発電量の低下やソーラーパネルの交換コストを抑制することが可能となる(図1)。

●ドローンとクラウド、赤外線検査を組み合わせた保守・点検

今回4社が協業したのは、この赤外線カメラをドローンに載せ、クラウドコンピューティングと組み合わせることで、ドローンの自動飛行や点検結果の即日共有などを実現するシステム「ドローン&クラウド ソーラーモジュールIR検査システム」の開発のためである

同システムはクラウドからドローンをコントロールするドローンステーションに航路情報や発電所情報、検査結果情報などを送り、その情報をもとに赤外線カメラを搭載したドローンを自動航行させ、撮影するこのドローンの空撮情報や位置情報、赤外線サーモグラフィー情報などを逆にドローンステーションからクラウドに送り、その結果を分析して、モジュールの検査報告書を作り、オーナーや管理者などの判断材料とする

●プロトタイプでは報告書提出まで従来比5分の1に

プロトタイプでは、クラウド上で事前に図面に対応したフライトスケジュールを生成し、自動航行機能を搭載したドローンにオンラインで配布することで、効率よく安全に検査することを可能とする。これにより検査コストが大幅に削減される予定である。さらに、従来はモジュール位置の特定と解析、報告書を作成、事業者への報告書の提出まで含めて通常4~5日程度必要だったが即日での撮影データ収集と解析が可能となるという

プロトタイプ製作における4社の役割は、エナジー・ソリューションズがソーラーモジュール検査システム、赤外線サーモグラフィーデータ解析システムの開発などを担当。サイバートラストが、第3者認証機関としてドローンとクラウドサービスの電子証明書認証による送受信データの暗号化、ソフトバンク・テクノロジーがクラウド環境でのデータの蓄積・解析、M-SOLUTIONSが位置情報を用いて地図上に赤外線センサーの情報をマッピングするアプリの開発を担当している。

●目視から完全自動化へ

今回開発したプロトタイプでは最終的にドローンのサーモグラフィー画像から、ホットスポットの判別を目視で行う必要があるが、今後サービス開始に向けては完全自動化することを検討しているという。さらに、ソフトバンク・テクノロジーが提供する「IoT構築サービス」により、データの収集までは行えるが、その後のレポート化は手作業が発生している。これらも自動的にレポートが作成されるようにする予定だ。最終的にこれらの自動化機能を強化した上で、2016年8月のサービス提供開始を予定している

スマートジャパン2016.04.22

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