ソニー「再生プラスチック」樹脂より高性能

ソニーは、独自開発の難燃性再生プラスチック「SORPLAS(ソープラス)」の外販に向け、複数の企業と交渉を始めた資源の再利用で環境負荷の低減につながるだけでなく、石油から直接つくられた樹脂よりも高い耐久性や耐熱性を持つのが特徴だ。2011年から、自社のテレビやデジタルカメラなどに導入してきた。ソープラスの利用はすでにコスト増要因ではなくなっており、外販が実現すれば収益化も視野に入る

■工場廃材など利用

 ソープラスは「サステナブル・オリエンテッド・リサイクルド・プラスチック」の頭文字を取った。材料はCDやDVDなどの光ディスク、テレビ内でLED(発光ダイオード)によるバックライトの光を均一化する光学シート、主に海外で水を運ぶために使われるボトルだ。工場で廃材として出たものや使用済みのものを回収して使う。いずれも、「ポリカーボネート」と呼ばれるエンジニアリングプラスチックの一種でできている。

 この再生を実現した大きな要素は、素材を燃えにくくする硫黄系の新型難燃剤「PSS-K」だ

 ソニーは02年ごろ開発。この難燃剤は分子の構造上、混合されたプラスチックに混ざりやすく、均一に分散する。このため、リン系など他の難燃剤では全体の2割程度混合させる必要があるのに対し、1%未満で済む。その結果、再生材使用率99%を実現したという添加が少量で、プラスチックの持つ本来の機能を邪魔しないため、衝撃への耐性などについても、高い機能を持つ樹脂をつくれるようになった

 ソニーは難燃剤の開発に続き、これらの材料をさまざまな比率で配合することにより、多様な性質を持つソープラスをつくることに成功した引っ張る力や曲げる力に対する剛性の高さ、衝撃への強さ、燃えにくさ、油分への耐性などがそれぞれ異なる。例えば、ユーザーがデジタル録画双眼鏡やデジタルカメラをハンドクリームを触った手で持った場合、耐油性や落としたときの衝撃への強さが求められる

原材料は世界中から、ソニーが委託している中国南部の施設に集められる。粉砕・洗浄された原材料は、熱を加えながら大きなミキサーで混ぜ合わされ、難燃剤を添加する成形機で押し出され、粒状のペレットにされる。この時に着色顔料を添加することで、黒、白、灰色のペレットをつくることができる

 ペレット状にしたプラスチックは、金型で成形され、さまざまな製品の部品に採用されてきた。液晶テレビでは画面のフレーム部品などに採用。デジカメでは上位機種「α99」や「サイバーショット」シリーズなどに導入された

■外販で社会貢献

 外販へ向けた交渉は14年10月に開始。サンプル出荷もスタートし、電機のほか医療機器や建材、自動車などの関連企業へ売り込みをかけている。長期的な耐性テストなどが行われるため、実現まで一定期間は必要とみられるが、同社は外販により、自社だけでなく「社会での環境負荷低減」に貢献できるとしている

 ソープラスは、再生材の使用と難燃剤の少量添加により、高い環境性能を発揮。二酸化炭素の排出量をみると、輸送による排出増を考慮しても、石油からつくる樹脂と比べ約8割減らせる計算だ

 同社SORPLAS事業室の稲垣靖史室長は「樹脂のニーズはどんどん変わっていく。それに応えられるようにしていきたい」と、ソープラスを進化させていく考えを強調している。

参考 Sankei biz  2015.05.31

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