スマホ、1GBプランの落とし穴

大手通信事業者NTTドコモ、au、ソフトバンク3社のスマートフォン1ギガバイト(GB)プランが出そろった。利用者にとって本当に使いやすくなったのか。ケータイジャーナリストの石野純也さんが解説する。

大手通信事業者が、相次いで1GBプランを導入した。auは3月23日、ソフトバンクは4月1日から。NTTドコモだけは少々毛色が異なり、家族で5GBを分け合えるシェアプランを3月1日に新設したが、これで3社の低容量プランが出そろった。3社とも、音声通話が5分まで無料になる1836円の基本使用料や、324円のインターネット接続料と合わせて、税抜きで5000円を下回る(ドコモは家族3人以上でシェアした場合)

あまりデータを使わない人は、このプランに変更すれば、通信料金が安くなると思うかもしれない。実際、単純に料金だけを比べると、大容量のデータパックをつけるより、毎月の支払額は下がる。1836円の部分定額とセットにできる点も1GBプランのメリットだ。auの場合は3GB以上、ソフトバンクの場合は5GB以上の契約が条件になっていたからだ。

◇端末購入割引がなくなるauとソフトバンク

 一方で、1GBプランは注意点も多い。実際に運用が開始されるまで明らかになっていなかったのが、毎月の割引が消滅または減ってしまうことだ。auとソフトバンクは、1GBプランを選択すると、端末購入に伴う割引が一切なくなる。そのため、24回の割引を受けたあとでプラン変更しないと、かえって支払額が上がってしまうおそれもある。

最新の人気機種である「iPhone SE」の16GB版で、具体例を見ていこう。auで1GBプランを選んだ場合、端末購入に伴う割引がなくなる。そのため、毎月のランニングコストは、通信料と端末代の割賦を単純に合計した数値になる。通信は5292円、端末代は24分割で2370円。合計金額は、7662円だ

◇1GBプランが3GBプランより月500円以上割高に

これに対し、1836円のスーパーカケホと3GBのデータパックを選んだときの料金は、6696円になる。ここにiPhone SEの端末代が2370円乗ってくるところまでは同じだが、3GBのプランでは「毎月割」も支払われて、端末代が見かけ上、ある程度相殺される。iPhone SEの16GB版では1920円の割引が受けられるため、合計金額は7146円。1GBプランよりデータ容量が多いにもかかわらず、トータルでのランニングコストは安くなってしまうのだ

この点は、ソフトバンクも同じ。端末代はauと同額のため、1GBプランを選択したときの合計金額は7662円になる。一方で、音声通話が完全定額になる「スマホ放題」と、2GBのデータパックを選ぶと、合計金額は7020円。iPhone SEの割引は1920円になるため合計金額は7470円で、こちらも料金が逆転してしまう。au、ソフトバンクとも、データ容量が少ないから安くなるわけではないということだ。

割引額を据え置いていたドコモも、iPhone SEの発売に合わせ、しくみを変えてきた。具体的には、新たに導入された5GBのシェアパックや、1人用の2GBのデータパックを選ぶと、割引額が減額される。

iPhone SEでは、1万368円の減額となる。月あたりで、432円だ。auやソフトバンクとは違い、割引が完全になくなるわけではないため、上位のプランより料金が高くなってしまうことはないが、端末の実質価格が上がる点には注意しておきたい

実際に計算してみると分かるが、端末の割引が出ている間は、auとソフトバンクであえて1GBプランを選ぶ理由はどこにもない。データ通信をほとんど使わず、しかも2年以上同じ端末を使い続けて、割引が終了したあと、料金を下げたいときにだけ、お得になるが対象者は非常に限定される

毎月の料金が下がれば、それだけ割引の原資が減るのは理解できるが、上位のプランより高くなるのは本末転倒。あまりに工夫がなく、総務省のタスクフォースの結論を受け、いやいや作ったプランであることが透けて見える。特に割引が完全になくなるauとソフトバンクのプランは、まったく利用者本位とは言えない。せめてドコモ並みには、改善してほしいものだ

毎日新聞2016.04.09

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