シベリアの永久凍土から子犬発見

シベリア東部ヤクチア(Yakutia)地方でマンモスの牙を探していたハンターらは、急こう配の川岸に引き寄せられた。古い骨が埋まっていたからだ。驚いたことに、それは永久凍土から突き出た氷河期の子犬の鼻だった――。それから5年後の現在、完全な状態で保存されていた1万2460年前の子犬2匹は、世界中の科学者の注目を集めている

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皮や毛、内臓が損傷していない肉食哺乳類の発見は史上初」と、サハ共和国の首都ヤクーツク(Yakutsk)にある北東連邦大学(Northeastern Federal University)マンモス博物館(Mammoth Museum)の展示責任者、セルゲイ・ヒョードロフ(Sergei Fyodorov)氏は言う

 この発見はまた、飼い犬の起源をめぐる活発な科学的議論に寄与する可能性もあるという。

 2011年、ハンターたちから凍った子犬を見つけたとの連絡を受けたヒョードロフ氏は、すぐに、ロシアの首都モスクワ(Moscow)から約4700キロ離れた北極のツンドラへと飛んだ。

 そして昨年、さらに詳細に調べるために再訪した同氏は、1匹目が発見された場所近くの、坂をさらに下ったところで2匹目の子犬を発見した。2匹とも生後3か月ほどで死んでいた

 ヒョードロフ氏は先週、2匹目の子犬の驚くほど保存状態が良好な脳の摘出を監督し、「世界初だ」と述べた。「子犬は骨が細く、頭蓋骨が繊細なためにとても珍しい」という

 2匹は、発見場所に近い村の名にちなんで、トゥマト(Tumat)犬と名付けられた。

 同氏によれば、一緒に発掘されたマンモスの遺骸を予備調査したところ、食肉処理されて焼かれた形跡が発見されたことから、人類の存在が示唆されたという。だが、子犬が飼い犬だったのか野生だったのかを解明するには、さらなる調査が必要で、子犬の遺伝子を再構築することによってのみ可能だという。ただ、それには少なくとも1年かかる。

これまでのところ、犬へと進化した可能性の高いオオカミの系統は発見されていない。この子犬たちがその系統の可能性もある。それならとてもすごい発見になる」と、オックスフォード大学(University of Oxford)の進化生物学者、グレガー・ラーソン(Greger Larson)氏は語る。同氏は、犬がいつどのようにして飼い犬になったかを調べる共同研究に携わっている科学者のひとりだ

■「草を食べる犬?」

 犬がとりわけ興味深い研究対象となっているのは、人類が定住して農業を始める前から「人間の最高の友達」になっていたからだ

 犬がある一つの地域で、あるいは別々の複数の地域で飼い慣らされていたのかは、依然として不明だ。また、人間がオオカミの子どもを飼い始めたのか、オオカミが餌を求めて人間の生活領域に入っていったのかも不明だ

 正確な血統がどうであれ、トゥマト犬はヒョードロフ氏をはじめとする科学者たちを当分の間、忙しくさせるとみられる。

 2匹目の子犬の脳は現在の犬やオオカミの脳と比較され、体内で発見された寄生虫や胃の内容物は分析される。胃の内容物は、同氏を特に興奮させている

「2匹目の胃を開いたとき、私たちはとても驚いた。胃の中は、小枝や草だらけだった」と語る同氏子犬たちが完全な肉食ではなかった、あるいは地滑りによって移動が制限され、空腹から草を食べ始めたのではないかと考えている

 ヤクチア地方の永久凍土の溶解により、今後さらなる歴史的発見が期待できるとヒョードロフ氏は指摘。有史以前とされるものの発見が、この10年で「数倍に」増加していると言う。「私たちの土地は永久凍土によって鍵が掛けられていたが、少しずつ秘密を明かし始めている」【翻訳編集】 AFPBB News

AFP=時事2016.03.29

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