クルマのホィール、アルミの利点は?

よくいわれる「アルミのメリット」とは

 クルマは、個人の好みにカスタマイズできる商品です。外装から内装、オーディオやナビゲーション、ホイールなどが好みによってチョイスできるよう、オプションが数多く用意されています。

そんなオプションとして、最初に挙げられることが多いのはホイールでしょう。たいていのオプションのホイールは、もともとのホイールよりも値段が高いものですが、それは素材が鉄(スチール)からアルミに変更になっていたり、サイズが大きくなっていたりするからです。ちなみに、オプションのホイールはほとんどがアルミ素材で、つまり「オプションホイール≒アルミホイール」というのが現状です

サイズアップは単純にモノが大きくなるわけですから、高値の理由として理解しやすいでしょう鉄からアルミになるので高くなるというのも承知のはず。では、高値を承知の上でアルミに変更する理由については御存知でしょうか

なぜオプションのホイールは(ほとんど)アルミなのか、それにはいくつかの理由があり、一般的には「見た目が良くなる」「燃費が良くなる」「ハンドリングが良くなる」といわれています。確かに、オプションのアルミホイールにはいろいろなデザインが用意されていますから、「見た目が良くなる」に関しては誰もが納得するはず

では、「燃費が良くなる」と「ハンドリングが良くなる」というのは本当なのでしょうか。

「アルミホイールで燃費が良くなる」は本当?

 クルマの燃費をよくする方法は、いろいろとあります。エンジンやトランスミッションを改良して抵抗や損失を減らし、燃焼効率を高める。空気抵抗を減らす。タイヤの転がり抵抗を少なくする。そして重量を減らす。こうしたことを実施すると燃費はよくなります。ただし、エンジンやトランスミッションの改良、空気抵抗を減らすといったことは、自動車メーカーの仕事。普通のユーザーが愛車にできるのは、タイヤと重量の改善です

低燃費タイヤへの交換については本稿の趣旨とずれるので割愛しますが、重量の改善という意味においても、タイヤおよびホイールの交換は定石のひとつといえるでしょう

というのも、タイヤとホイールはあわせると相当な重さになるからです。もちろんそれらのサイズが大きいほど、重量はどんどんかさみます。ざっくりいえば、軽自動車がよく履く13インチのタイヤとホイールで1本あたり約12kg、「プリウス」程度の大きさのクルマが使う16インチで20kg程度になり、それが1台につき4本もあります。意外と、タイヤ&ホイールは重量物なのです。

A地点からB地点まで物を移動させるとき、それが軽ければ軽いほど必要なエネルギーは少なくてすみます。エネルギーが少なくてよければ、当然、燃費も良くなります。燃費の良さはセールスポイントのひとつになるため、自動車メーカーはどこも必死で軽量化に取り組んでいるのが現状です。

そこで注目したいのがアルミホイール。アルミは鉄よりも軽いので、上手くすれば鉄より軽いアルミのホイールを作ることができます。軽量なアルミホイールが「燃費に効く」という“うたい文句”で販売されるのは、そういう理由です

 ただし、“本当に軽いアルミホイール”となると、意外と少ないものです。なぜならアルミは鉄より柔らかいので、しっかりとした強度を得るためにはそれなりの量のアルミを使用して作る必要があります。また、デザインを優先してボリュームたっぷりにすれば、当然、重量もかさみます

燃費向上に効果的な軽いアルミホイールにするには、スポークのデザインを細くしつつ、しかも頑丈に作らなければなりません。そのため「鍛造」という凝った製法で作られたアルミホイールもありますが、もちろん凝ったぶん、鍛造のアルミホイールは値段が高くなります。そうしたこともあり、頑丈な軽量アルミホイールはたいていの場合、普通のアルミホイールよりも高いプライスがつけられています

なお頑丈といっても、やはり柔らかいアルミです。段差を勢いよく越えるなど乱暴な運転をすれば簡単にヒビが入ってしまうため、丁寧な扱いが求められます。

「アルミで良くなるハンドリング」は条件付き 鉄も意外と悪くない?

 鉄のホイールからアルミのホイールに交換することで、ハンドリング面にはどのような影響が表れるのでしょうか。

サイズが変わらなければタイヤのグリップ力は同じですから、曲がる・止まるという性能に違いはありません。ただしタイヤ&ホイールという回転するものが軽いため、加速するときにそれが回りやすくなります。ただし、それは一瞬のこと。軽いホイールということで、走る・曲がる・止まるに大きな性能差は現れません

ですが、軽いことで上下の動きに変化が現れます。路面からの振動を受けて上下するタイヤ&ホイールという重量物が軽くなるため、サスペンションが振動を抑えやすくなります。そのため軽いアルミホイールにすると、足元のドタバタ感が弱まり、スッキリした乗り心地になります。

なお、ホイールのサイズを大きくする「インチアップ」を施すと、たいていの場合、直径だけでなく幅も大きくなります。重量がかさみますので、燃費や乗り心地は悪化しますが、タイヤの接地面が大きくなってその限界性能が高まるため、曲がる・止まるという性能は向上します。

さて、ここまでアルミホイールのメリットを見てきましたが、基本的にすべて「軽ければ」という条件があってこそ成立する利点、ということがおわかりでしょうか逆に重量が鉄ホイールと変わらなければ、良いことはデザイン面だけ。それらを踏まえると、鉄ホイールも意外と悪くないことに気付きます。なによりも丈夫、そして安価です

もちろん「見栄えが重要」と考える人は、文句なしにオプションのアルミホイールに交換すべきでしょう。また「燃費や乗り心地をよくしたい」という人は、頑丈かつ軽量、でもちょっと高いかも、というアルミホイールにしましょう。私(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)も、そうしてきました。そして「見た目よりもコスパ」と考える人は、追加支払い料金ゼロの鉄ホイールを。オプションのセレクトは、人それぞれにあった、人それぞれの正解があるのです

鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)

乗りものニュース2016.05.04

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