ギリシャ国民投票→解決にならない

欧州連合(EU)が求める厳しい財政再建策を受け入れるのかEU離脱も辞さぬ道へと踏み出すのか。ギリシャの命運を決める国民投票が実施された5日、アテネ中心部に近い住宅街の投票所を訪ねた。「どちらが勝っても何の解決にもならない」。有権者からは、こんな声が多く聞かれ、将来を悲観する雰囲気が漂っていた

小学校に設けられた投票所の出入り口で、投票を終えた有権者に声を掛けてみるが、多くの人が暗い表情のまま、質問に答えずに立ち去っていった

そんな中でも、財政再建策受け入れに賛成票を投じた有権者らは、「政府は仕事を放棄して国民に責任をなすり付けようとしている」「もっと早くEUと合意すべきだった」と政府を厳しく非難。反対票を入れた人も「年金が支払われるのか、子供たちはどうなるのか、将来が不安だ」と漏らし、明るい表情の人を見かけることはなかった

賛成に投じたという年金受給者の男性(97)は、「無意味な国民投票を実施したチプラス首相は辞任すべきだ。責任逃れの国民投票をしたことがギリシャの悲劇だ」と怒りをあらわにした

投票は、EUの財政再建案受け入れについて「オヒ(ギリシャ語でノー)」か、「ネ(イエス)」で答えるだけの形式。EU案の詳しい説明もない。

投票を終えたチプラス氏は、「ギリシャ人はきょう、尊厳と決意という力強いメッセージを発した」と笑顔で語った。

急進左派連合(SYRIZA)主導のチプラス政権は、国民投票で財政再建策を拒否すれば、EU側との交渉を有利に進められると説明してきた。

だが、EU側にすれば、緊縮策を受け入れないままのギリシャを救済すれば、ポルトガルやスペインなど巨額の債務を抱える南欧諸国が、同様に「例外」を求めてくることは避けられない

ユーロを牽引(けんいん)するドイツなどの経済力に影を落とす事態は避けたいのが本音といえ、大胆な譲歩は考えにくい。

賛成多数で再建策を受け入れれば、チプラス政権が退陣して暫定政権が樹立され、早期にEU側との協議に入るとの見方もある。だが、当面は国民に“痛み”を強いることは確実だ世論調査でも国民の半数は緊縮に反対で、暫定政権が厳しい政権運営を迫られることは必至だ

参考 産経新聞 2015.07.06

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