オバマ大統領→広島訪問検討中

米国務省で核軍縮などを担当するガテマラー次官(軍備管理・国際安全保障担当)は22日、オバマ大統領が主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて5月に訪日する際、被爆地・広島を訪問する可能性について「ホワイトハウスが検討中だと承知している」と述べた。毎日新聞など一部記者団との懇談で語った。

【写真特集】広島、長崎に原爆(2011年8月掲載)

ガテマラー氏は昨年、米政府高官として初めて広島、長崎で「原爆の日」の式典に参列した。懇談では、被爆者から直接話を聞いたことや被爆者から若い世代まで全世代が記憶を共有していることなどに触れ「非常に感動的な経験だった」と振り返った

そのうえで、大統領の広島訪問について「大統領日程を決めるのはホワイトハウスで、私がコメントするつもりはないが、検討中だと承知している」と語り、検討の過程にあることを明らかにした。

「核兵器なき世界」を提唱した大統領の任期も残り約10カ月。日米外交筋によると、米政府は日本国内・政府などからの訪問実現への期待を理解するとともに、米国としても訪問の意義があると認めているという

ガテマラー氏は自身の被爆地訪問には、広島や長崎はもちろん第二次世界大戦による全ての犠牲者を追悼する意図があったと説明大統領が訪問すれば「このことはホワイトハウスが強調したい点の一つになるだろう」と語った

ただ、米国内では原爆投下を正当化する考えが根強く、米国内の保守派や退役軍人団体などからの反発があがることが予想される。また、11月の大統領選に向けてオバマ政権の外交政策を厳しく批判する共和党が攻勢を強めることも懸念材料になる。

懇談後、ガテマラー氏は大統領は国内保守派の反応を懸念しているのか」との質問に「私が言えるのは、大統領は(被爆地を)訪問できれば光栄だと語っているということだけだ」と述べるにとどめた

サミットに先立つ4月には、ケリー国務長官が外相会合のため広島を訪問する。大統領の訪問についてはこれらを踏まえて最終判断する方向だ。

広島・長崎両市は、これまでにオバマ米大統領の被爆地訪問実現に向けて、米大使館を通じて再三要請文を送っており、関係者らの期待は高まっている。

広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の清水弘士事務局長(73)は「広島に直接来て、見て、真剣に考えてほしいというのが私たちの願いだ」と述べ、「もし実現すれば、米国が過去に原爆を投下した結果、何をもたらしたか、時間の許す限り現実を見てほしい」と語った。もう一つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長(71)も「米国の大統領が直接原爆資料館を見学し、被爆者の話に耳を傾けてもらうことは必要なことだ」と話し、「オバマ大統領には一刻も早く核兵器をなくすと、この広島で誓ってほしい」と求めた。

また、在外被爆者を40年以上支援してきた被爆者の豊永恵三郎さん(79)=広島市安芸区=は「力を持つ米国の大統領が広島を訪問することは、世界平和のために極めて重要なことだ」と強調。一方で「訪問は歓迎するが、原爆投下への謝罪があって初めて新しい関係が構築できる。オバマ大統領が原爆投下をどう捉えているのか、はっきりさせてもらいたい」と注文を付けた。【加藤小夜、山田尚弘】

毎日新聞 2016.03.24

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