エコカーやめてガソリン車に乗り換え→アメリカ

ガソリン価格が1ガロン3ドルを超えていた頃は、ハイブリッドカーと電気自動車(EV)が勢いを得ていた。しかし、原油価格の下落と消費者の好みの推移という厳しい現実を受け、いわゆるエコカーへの忠誠心は薄れつつある

中古車情報サイトKelley Blue Book(KBB)のデータによれば、今年ハイブリッドカーやEVを売りに出している人のなんと72.5%(5,724件の売買データをもとに算出)が、従来のガソリン車に買い替えているつまりエコカーへの忠誠度はわずか27.5%で、2015年の38.5%から下落米国のドライバーたちのEVへの情熱は一時の浮気に過ぎなかった、という説を裏付ける数字となっている

そしてKBBによれば、ハイブリッド/EVのオーナーの33.8%がSUVに買い換えており、その割合は昨年の29%から増加傾向にあるという。環境保護主義者たちにとって希望の光があるとすれば、それらのドライバーの多くが、それなりに燃費の良いクロスオーバーモデルを購入していることだ。エコカーからピックアップ・トラックに買い替えたオーナーはわずか4.1%、大型SUVに買い替えた人は1.4%のみだった。

「最近の市場でSUVの人気は飛び抜けている。売上はこの5年で22%増加しており、その他の車種にもれなく影響を与えている。ユーザーが求めるサイズを揃えていないハイブリッドカーやEVは特に影響を受けている」と関係者は語る。

さらに、従来型のガソリン車でも燃費効率で40mpg(1ガロンあたり40マイル=約64km)を突破するものが出てきているため、わざわざ割高なハイブリッドカーを買おうという気にはなりにくいのだこのところのガソリン安もその後押しとなっている。また、数年前に比べて燃費のいい車が多く出回っているため、環境への懸念も軽減されやすくなっている

だが興味深いことに、ハイブリッドカーとEVの売上がこの1年で10%下落した一方でプラグイン・ハイブリッド(PHEV)はエコカーの中でも不思議と成功をおさめている

2016年の新顔である新型シボレー・ボルトや新型アウディA3 Sportback e-tron、現代のソナタ・プラグイン・ハイブリッドなどが火付け役となり、第1四半期にはPHEVが爆発的に売れた。業界全体と比べればまだごくわずかだが、販売台数は前年同期の6,652台から10,932台へと大幅に増加した

とはいえ、消費者はEVに興味がある

ほかにもヒュンダイの「イオニック」やボルボのSUV「XC90 T8」、クライスラーの新型ミニバン「パシフィカ」など、さまざまなボディスタイルのPHEVが発表されている。

この傾向は、ガソリン価格が安くてもEVのテクノロジーに対する消費者の潜在的興味があることを示しているととれる。PHEVは高額ではあるが、電気自動車よりも安い傾向にある。また、特に比較的短い距離を車通勤している人にとっては、限られたEV走行距離を最大限に活用することができ、標準的なハイブリッドカーよりも燃費が向上する可能性がある

その上、ハイブリッドカーと違って多くのPHEVは5,000ドル(約55.5万円)の連邦税額控除の対象になるバッテリー残量が一定水準に減ったら通常のハイブリッド走行に切り替わるため、走行中にバッテリーが切れて動かなくなるのでは、という不安も回避できる

PHEVは、どちらかと言えば過渡期の製品だ。21世紀初頭に人気があったVCR/DVDプレーヤーと同じようなもので、より走行距離が長く低価格の電気自動車が普及するまでの、技術の不足を補うものなのだ

Jim Gorzelany

Forbes JAPAN2016.05.02

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