イオンの食品売り場→知られざる裏側

 本格的な少子高齢化時代を迎え、ネットスーパーの登場など、スーパーの競争が激しくなっている最大手のイオン、2位のイトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングス)など食品だけでなく衣料品や住居関連用品なども扱う総合スーパー(GMS)の業績は苦戦気味業界再編も進む中、各社にとって競合店との差別化が課題となっている

 一方、消費増税後、生鮮食品や惣菜に力を入れたライフコーポレーションやヤオコー、マルエツなど食品専門のスーパーは堅調な業績を維持。GMSにとってこうした食品スーパーにどう対抗するかは大きなポイントとなる。

カギを握るのはやはり食品だ。TBSテレビ『ジョブチューン』取材班は、6月4日(土)よる7時56分から放送する「ジョブチューン 巨大スーパーのヒミツぶっちゃけSP!」に出演するイオンリテールの三宅香・広報部長兼お客さまサービス部長と西野克・デリカ商品統括部長に、イオンが最近、食品分野で力を入れているオリジナルサービスやアイデアなどを聞いた。■ 地域ごとに味を変える細かいサービス

青果、鮮魚、精肉など、イオンの中でもっとも活況なのが売り場面積の約20%を占める「惣菜売り場」。他のスーパーと比べても、種類は豊富でなんと約600種類もの商品が並ぶ人気シリーズである約60種類の惣菜全て100g198円で購入することが出来る「マイセレクトデリ」をはじめとして、そのほとんどが店内で調理されている

イオンといえば全国に500店のネットワークを持つだけに、こうしたオリジナル商品の内容も画一的かといえば、そうではない一例が「お寿司」に現れている

  イオンのお寿司は酢飯の味が7種類ある。各地域によってそれぞれ地元の人の好みが違うからだ。大きく分けると関西は甘みが強い酢飯関東では酸味を強くしている。開発段階で、実際にその土地のお客さんの意見を聞いて味を調節する。

巻寿司に使っている海苔をよく見ると、無数の穴が空いていることに気づく。これはお客から「巻き寿司の海苔が噛み切りにくい」という声に応えた結果だ。お年寄りでも食べやすくなっているという

■ イオンの鮮魚を守る鮮魚士

鮮魚売り場に目を転じてみよう。人気なのは「朝獲れ鮮魚」というサービス。お昼過ぎの午後1時に最も鮮度が良い鮮魚が届く仕組みだ

普通のスーパーでは、鮮魚の仕入れは市場を通して仕入れられるしかし、イオンでは市場からではなく直接漁港と契約し鮮魚の仕入れも行っている。通常、漁港で水揚げされた魚のほとんどが1日かけて市場に一度集められ、その後に市場を通して店舗に届く。

一方で、イオンのように漁港から直接仕入れれば、市場に通す時間が省略されるその日に水揚げされた魚が販売できるのだ。イオンの従業員である専門の鮮魚士の資格を持ったバイヤーが、直接漁港まで出向きセリ落としを行っている

鮮魚士という名前は、聞き馴染みがないかもしれないが厚生労働省に認定された専門の資格。魚の目利き、調理のプロフェッショナルなのだ。イオンでは、このような鮮魚士たちが日本全国に49人いて、各地方の旬の魚を買い付けている

イオンの「朝獲れ鮮魚」では、普通スーパーに置いていない目新しい鮮魚が置かれている。ある日、セリ落とした魚を見てみると……アジなど一般的な魚に混じって色鮮やかなヒレが特徴的な「ホウボウ」、ぎょろっとした目が特徴的な「テンス」など……。

このような珍しい魚を店頭に置くことでお客さんの目につきやすく立ち止まってくれるだけでなく、家庭での食事の時にも話題の一つにもなるのだという

全国に展開する大手スーパーのネームバリューや信頼性があっても、画一的な商品展開やサービス内容では特徴のある食品スーパーの後塵を拝してしまう各店舗がそれぞれどれだけ地域に密着し、小回りの利いた運営ができるかがカギを握っている

TBSテレビ『ジョブチューン』取材班

東洋経済オンライン2016.06.03

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