まずいイメージ「ボラ」→原因は汚れ生息域

「とどのつまり」…意味は、つまるところ。結局。(広辞苑より)

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 この言葉の中に出てくる「とど」とは、何のことだか皆さんご存知ですか? 水族館などで見ることができる、大型の海獣「トド」ではなく、魚の名前からきています。ここで言われている「とど」とは「ボラ」のことです

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 ボラは地域によって違いがありますが、ハク、オボコ、イナ、ボラ、トドなどと、成長するにつれて名前の変わる出世魚の一つです最終的にトドになることから「とどのつまり」という言葉が生まれたというのが有力な説とされています

 ボラは北海道以南の日本の沿岸に広く分布し、国外では熱帯西アフリカからモロッコ沿岸を除く全世界の温・熱帯域に分布しています。内湾に多く生息していますが、汽水域にも侵入し、中には完全に淡水の場所にまで侵入するものもいます

 皆さんも河川の下流域や運河などで水面を泳ぐボラの大群を見たことがありませんか? 私も子どものころ、狩野川の下流域で水門付近に大群をなして泳ぐ大型のボラを毎日のように友人と釣りに通ったのを思い出します

 初めて釣り上げたときは、今までに釣ったことのない“巨大魚”をしとめたことを自慢したくて、家に持って帰りました。しかし、家族から「この魚はまずくて食べられないから、持って帰ってこなくていい」と言われ、がっかりしたことを覚えています

 さて、ボラは本当にまずいのでしょうか。ボラは海底などの付着藻類などを泥と一緒に食べるため、捕れる場所によっては泥臭いことがあり、それがあまりおいしくない魚のようにいわれている一因だと思われます

 沼津の湾内へ船釣りに出掛けたときのことです。マアジなどを狙い釣りをしていると、船の周りのコマセにつられて集まってきた大型のボラが釣れました。私はおいしくない魚だから、当然逃がそうとしました。すると一緒に釣りをしていた叔父が「この辺りで釣れたボラならばおいしいから食べてみろ」と言うのです

あまり気は進みませんでしたが、家へ持ち帰りさばいて食べてみました。すると全く臭みもなく、刺し身で食べてもとてもおいしいことに驚きました

 ボラは地域によって好んで食べられ、海外では養殖が盛んな場所もありますボラの卵巣を材料に製造される「からすみ」は高級食材として有名で、胃の出口にあたる幽門は「そろばん」と呼ばれ、塩焼きなどで食される珍味です

 本来はおいしい魚であるボラ。そんなボラにまずい魚のイメージを植え付けてしまった原因の一つは、われわれ人間が、ボラの生息域である河川や内湾を汚してしまったからではないでしょうか。

(伊豆・三津シーパラダイス副飼育長 土屋考司)

伊豆新聞2016.03.21

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