まきストーブ、自然エネで注目

 家の中で炎を見ながら暖をとる。まきストーブの利用が京都府北部で広がっている。新築住宅での導入が進み、製品本体や燃料供給でも新たな取り組みが芽吹いている。暖冬とはいえ、寒さ厳しい北部の暮らしと挑戦を取材した。
新しい住宅が並ぶ福知山市緑ケ丘町。消防職員石田拓郎さん(33)宅の玄関前にはまきが積まれていた。中に入ると、吹き抜けの部屋全体をまきストーブの暖かさが包んでいた。まきは京丹後市の実家の山などで自ら調達する。石田さんは「憧れから設置しました。電気代が抑えられ、1台で家中が暖かく、心も落ち着く」。妻の彩奈さん(32)は「洗濯物も乾き、ピザも焼けて友人も楽しみに来てくれる」と喜ぶ。
販売した「三丹住宅機器販売」(福知山市堀)の深田武社長(45)は「自然エネルギーに注目が集まり、若い世代の注文も多い」と説明する。費用は煙突代や設置費を含め1台当たり100万円前後といい、北近畿を中心に年間30~50台の売り上げがある
日本暖炉ストーブ協会(東京都)によると昨年の会員13社の販売台数は9300台で20年前の2倍に増えた
まきストーブのある暮らしを気軽に体感できる住宅展示場も各地に出始めている。昨年5月、福知山市石原にオープンした「BESS福知山」。ログハウス型など、まきストーブを備えたモデルハウスが立ち並ぶ
欧米の輸入品が多いまきストーブだが、府北部産も誕生した。京丹後市の板金塗装業「松田精工」はライフラインが寸断された2011年の東日本大震災をきっかけに製品開発に着手。省エネを売りに販売に乗り出し、輸入品より安価という
ただ、利用のネックが燃料のまきの確保だ。まきストーブショップ「火木土」を運営する「岸下建設」(福知山市)は山林所有者に原木を持ち込んでもらい、買い取る「薪(まき)の駅」を始めた。同社の山本大輔さん(44)は「顧客に安くまきを提供したい。山の維持管理にもつながれば」と期待する
まき販売は製材業にも広がる。舞鶴市京田の「出立木工所」は、端材をまきとしてインターネットで15年前から売り出し、全国から注文が来る。出立浩之代表(47)は「売り上げは開始前の倍。広葉樹は火持ちがよく評判。木材価格の底上げにつながる」と語る。
まきに代わる新燃料も登場。綾部市小畑町の農業生産法人「丹波西山」はコメ作りから出るもみ殻を機械で粉砕し、固形化した「モミガライト」を販売。西山和人代表(34)は「年間25トン出るもみ殻の使い道に困っていた。コメのどの部分も捨てることをしない循環型農業ができる」。
府は16年度、中丹地域でまきストーブなどの木の暮らしを体感してもらうツアーを催す予定。府の担当者は「スローライフを求める都会の人は多い。移住者の呼び込みにつなげたい」と意気込む。まきストーブは農林業活性化や移住につながる可能性も秘めている

京都新聞2016.03.06
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