がん→慢性肝炎治療薬で転移抑制

がんを転移しやすくするたんぱく質を世界で初めて突き止めたとの研究成果を、中山敬一・九州大教授(分子医科学)らのチームが2日の米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに発表した

既存の肝炎治療薬に、このたんぱく質の働きを妨げて転移を抑える効果があることもマウスの実験で確かめた。研究チームは「ヒトへの有効性は今後の治験(臨床試験)を待つ必要があるが、副作用が少ない薬なので期待が持てる」と話す。

国内で年間40万人近くが死亡するがんは、進行すると他の臓器などに転移して治療が難しくなる。がん細胞を標的にした薬の開発が進むが、転移を抑える目的の薬はなかった

チームは、がんが転移すると、細胞のまわりに「がんニッチ」と呼ばれる正常な細胞の集団ができ、がん細胞の成長を助けることに注目。まず、乳がん患者の血液を分析し、特定のたんぱく質が少ない人はがんを再発しやすいことを確かめたさらに、このたんぱく質をなくしたマウスにがん細胞を移植したところ、がんニッチに正常細胞を呼び寄せる信号を出す別のたんぱく質が体内で増え、がんの転移が早まることが分かった

信号を出すたんぱく質は、B型肝炎ウイルスが炎症を起こす仕組みにも関係している

そこで慢性肝炎治療薬として使われている「セロシオン」(一般名プロパゲルマニウム)をマウスに投与すると、乳がんの転移はほぼゼロに、悪性の皮膚がんの転移は3分の1以下に抑えられたという

中山教授は「国に承認されるまで早くて5年程度かかる。使用はそれまで待ってほしい。がんの摘出手術に前後して服用を始めれば、再発や転移を防げるはずだ」と話す。

参考 毎日新聞 2015.01.03

【関連する記事】